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帆布(はんぷ)とは?キャンバスとの違い、生地の特徴、号数・オンスの意味を分かりやすくご案内します

繊維インサイト2023年3月13日

綿や麻を平織りで仕上げた厚手の生地を帆布(はんぷ)といいます。トートバッグの定番素材として知られていますが、種類は豊富で、それぞれに特徴があります。今回は、「帆布」をテーマにし、キャンバスとの違い、帆布のお手入れ方法、号数・オンスについてなどをご案内します。
また、仙田株式会社の主力商品であり、多くのお問い合わせをいただく「帆布シリーズ」もご紹介しますので、ぜひご参考ください。

目次
帆布とは
帆布とキャンバスの違い
帆布の主な生産地
帆布の製造方法
帆布のお手入れ方法
号数・オンスとは
6号帆布の特徴とおすすめアイテム
8号帆布の特徴とおすすめアイテム
9号帆布の特徴とおすすめアイテム
11号帆布の特徴とおすすめアイテム
仙田で取り扱いがある帆布シリーズ
まとめ

帆布とは

帆布とは、綿や麻といった天然素材を「平織り」で織った厚手の生地のことです。かつて、風を受けて船を進ませる帆船(はんせん)の「帆」に使われていたことから、「帆布」と呼ばれるようになりました。帆布は平織の一種ですが、撚糸を使っているのが特徴です。ねじった糸を使うことで生地の強度を上げたり、毛羽立ちを減らしたりしています。
帆布の特徴は何といってもその優れた機能性。耐久性や通気性も良いことから、古くは帆やパラシュート、現在ではバッグやエプロン、カーテン、靴など身の回りにあるさまざまな製品に使われています。

そんな高い機能性を可能にしているのが、「平織り」という製織技法です。平織りは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に織っていく最も基本的な織り方で、糸が交差する点(=組織点)が多くなるため、頑丈で摩擦に強い仕上がりになります。使う糸の種類や撚り合わせ本数などによって、厚みや質感、風合いの異なる生地を織ることができます。
※製織(せいしょく):糸から生地を織り上げること

帆布とキャンバスの違い

帆布は、しばしば「キャンバス」とも呼ばれます。キャンバス(canvas)とは、ギリシャ語由来の言葉で「麻で作られたもの」という意味。基本的には、呼び名の違いだけでどちらもほとんど同じものを指しますが、アパレルやテキスタイルの業界では、若干意味が異なります。
アパレルやテキスタイルの業界では、日本製のものを「帆布」、海外製のものを「キャンバス」と呼ぶことが多いです。その違いは、生地の厚みや重さを表す単位にあります。詳しくは後述しますが、帆布は「号」、キャンバスは「オンス(oz)」という単位で表し、それぞれ厚みや重さの基準が異なることから、別々のものとして扱う場合があります。

帆布の主な生産地

国内の主要生産地は、繊維のまちとしても知られる岡山県倉敷市。年によって生産量に増減はありますが、国産綿帆布の約7割を生産しています。江戸時代に綿花の栽培が始まり、明治以降の西洋技術によって繊維産業が発展した倉敷は、デニム(ジーンズ)をはじめ、帆布や畳縁といったさまざまな繊維製品の主要な生産拠点となっています。
弊社で扱うオーガニックシリーズも岡山県産の帆布です。

世界に目を向けると、トップの生産地は中国。綿花の栽培が盛んなことに加え、大規模な工場が点在しているため、大量の帆布を生産・輸出できることが大きな要因です。
しかし、近年ではベトナムやカンボジアといった東南アジア地域や、パキスタンやインドといった南インド地域に生産拠点がシフトしている傾向も。理由としては、社会情勢の変化や人件費高騰などの経済的な事情など。南アジアにおいては、現地での綿花栽培が盛んに行われ、ヨーロッパ市場向けの帆布製品を大量生産。中国の次に帆布の生産量が多い地域となっています。

帆布の製造方法

製織方法は大きく分けて、以下の4つがあります。

l  「シャトル織機(しょっき)」
l  「レピア織機」
l  「エアジェット織機」*帆布の製造方法はこちらが主流です。
l  「ウォータージェット織機」

詳しくご案内します。

l  シャトル織機
手織りの作業をそのまま機械化した織機で、「シャトル(杼)」と呼ばれる舟形の道具に緯糸をつけて往復させ、経糸の間に糸を飛ばして生地を織ります。織機の中で唯一、生地の端に「セルビッチ」と呼ばれるほつれ止めの“耳”ができることが特徴です。倉敷で生産される帆布のいくつかはシャトル織機で織られているものもあります。

l  レピア織機
「レピア」と呼ばれる剣のような形をした道具を両側に差し込み、片側のレピアが緯糸を中央まで通し、反対側のレピアがそれを受け取って端まで運ぶことで生地を織る製織方法です。シャトルを必要とせず、糸が一方向に飛ぶので、シャトル織機よりも生産スピードが高いという特徴があります。
かつては「シャトル織機」と「レピア織機」が製織方法の主流でしたが、高速運転が難しく生産性が低いことから、今ではほとんど使われなくなりました。

l  エアジェット織機
圧縮した空気の勢いを利用して緯糸を飛ばす製織方法です。帆布はエアジェット織機で織られます。シャトル織機やレピア織機のように緯糸を飛ばす道具が必要ないため、高速で生地を織ることができます。主に綿や麻といった天然繊維で生地を織る際に使われます。

l  ウォータージェット織機
水の勢いを利用して緯糸を飛ばす製織方法です。エアジェット織機と同じように緯糸を飛ばす道具が必要ないため、高速で生地を織ることができます。ただし、水を使うため、吸水性のある天然繊維には不向きで、主に合成繊維で生地を織る際に使われます。

ちなみに、色や柄のある帆布は「先染め」「後染め」という染色を施しています。先染めとは、糸の状態で染色し、製織したもの。後染めとは、製織してから、生地の状態で染色したものです。縞や格子状の模様は先染め、全体的に色が付いているものは後染めの生地です。

帆布のお手入れ方法

トートバッグなどの帆布製品は、使い込むほどに生地が馴染み、味が出ることが魅力です。丈夫で使い勝手が良いことから、普段使いしている方も多いかと思います。しかし、使っていくうちに黒ずみや埃詰まりなどの汚れがついてしまうことも。経年変化を楽しむには、日頃からこまめにお手入れすることをおすすめします。

l  目地の埃詰まりが気になる
平織りの性質上、目地(織り目)が規則正しく整っているため、その隙間に埃が詰まることがあります。手で払うとさらに詰まってしまうことがあるので、衣類用のブラシで目地に沿って優しく一方向にブラッシングしましょう。

l  小さな汚れが気になる
トートバッグの角や帆布製品の表面についた小さな黒ずみなどの汚れは、白いプラスチック製の消しゴムで優しく擦ると落とすことができます。強く擦りすぎると色落ちや色ムラが発生する場合があるので、広範囲にわたる汚れは次のお手入れ方法を試してみてください。

l  大きな汚れが気になる
広範囲にわたる大きな黒ずみなどの汚れは、水で薄めた中性洗剤を含ませた布で優しく叩いたり、毛のやわらかい歯ブラシで擦ったりして、汚れを浮かすように落とします。汚れが落ちたら、水で濡らした布で洗剤を拭き取り、風通しの良い場所で陰干しして乾かしましょう。ただし、同じところばかりを擦ると色落ちや色ムラの原因になるので、注意が必要です。

製品によっては、汚れがつきにくい「ラミネート加工」や、防水性を高める「パラフィン加工」などの後加工をしているものもあります。日頃のお手入れが簡単になるので、そういった帆布を選んだり、加工を施したりすることをおすすめします。

号数・オンスとは

先述の通り、「号」「オンス」とは、生地の厚みや重さを表す単位のことで、日本製の「帆布」と海外製の「キャンバス」を区別する際に使われます。

l 
経糸と緯糸、それぞれの撚り合わせ本数とその密度を表す単位です。111号までの号数があり、数字が小さいほど糸の本数が多く、厚みと重さのある生地になります。もともとは、JIS(日本産業規格)によって号数の規格が定められていましたが、現在では廃止されています。以降新しい規格はありませんが、多くの企業では、旧JIS規格を適用して生産を行っています。

l  オンス(oz
1平方ヤード(=0.84平方メートル)あたりのキャンバス生地の厚みを表す単位です。本来、オンスは重さを表す単位(1オンス=28g)ですが、「面積あたりの重さが増えるということは、素材の量が増えて厚みが増す」という考え方に基づいて、この単位が使われています。号と異なり、数字が大きいほど厚みと重さのある生地になります。

6号帆布の特徴とおすすめアイテム

6号帆布は、経糸・緯糸のそれぞれが4本の糸で撚り合わせられているので、しっかりとした厚みがあり、非常に丈夫です。体育館用のマットに使われるほど強度が高く、擦れや引き裂きに強いという特徴があります。
6号帆布を使ったおすすめアイテムは「ビジネスバッグ」や「ショルダーバッグ」など。ノートパソコンや書籍、教科書といった重いものを入れても型崩れしにくいので、通勤・通学などの普段使いに最適です。

仙田の在庫品・・・#485ドレーク / #437オーガニックス6

8号帆布の特徴とおすすめアイテム

8号帆布は、経糸・緯糸のそれぞれが3本の糸で撚り合わせられており、透け感のほとんどない生地で、厚みがあり丈夫です。6号帆布よりも耐久性は劣るものの、汎用性が高く、裁縫しやすいことからさまざまな用途で使用されます。
8号帆布は、「ボストンバッグ」や「リュックサック」など幅広いアイテムに適しています。フェイクレザーなど異素材との組み合わせも相性抜群です。

仙田の在庫品・・・#414アルマダ / #436オーガニックス8 / #487ノベル(同規格のオックス生地)

9号帆布の特徴とおすすめアイテム

9号帆布は、経糸が2本、緯糸が3本の糸で撚り合わせられた比較的柔らかい生地です。8号より薄手ながら、目地の密度が高く、丈夫で柔軟性があるため、トラックの荷台を覆うトラックシートなどによく使われています。
身近なアイテムで9号帆布を使うことは少ないですが、「道具袋(ポーチ)」や「メッセンジャーバッグ」といった、耐荷重が求められるものに向いています。

仙田の在庫品・・・#416クルーズ

11号帆布の特徴とおすすめアイテム

11号帆布は、経糸が2本、緯糸が1本の糸で撚り合わせられた、旧JIS規格の帆布の中で最も薄い生地です。軽くて柔らかいので、家庭用のミシンでも縫えることが特徴です。
11号帆布は、「エコバッグ(軽めのトートバッグ)」や「エプロン」、「クッションカバー」、「カーテン」といった、キッチン雑貨やインテリアの生地におすすめです。最近では、その加工のしやすさから、ハンドメイド作品の生地としても使われることが増えています。

仙田の在庫品・・・#413セイラー / #435オーガニックス11 / #482ラミコット

 

仙田で取り扱いがある帆布シリーズ

仙田では、素材や色、製織方法にこだわった幅広い帆布を取り扱っています。綿花は各国の原産地から輸入していますが、帆布シリーズの製織は全て日本国内で行っている商品となります。

その中から、特に人気の高い7つの主力商品の特徴をご紹介します。

#413 セイラー(11号帆布)

規格:112cm*55m乱 混率:綿100% 色数:全51色 仕上:シルケット 防縮 樹脂糊付け
少し薄手の11号帆布で、ポーチや小さめのバッグといった小物のアイテムを作る際に向いています。PVC(ポリ塩化ビニル)素材を貼り付けて防水性を付与することも可能です。セイラーで作ったアイテムの仕上がりは柔らかいため、バッグなどは自立できません。

#414 アルマダ(8号帆布)

規格:112cm*25m乱 混率:綿100% 色数:全91色 仕上:硬糊仕上げ
仙田の売れ筋商品の一つで、トートバッグに最適な8号帆布です。アルマダの特徴は豊富な色数。定番のキナリ(綿や麻などの天然素材そのままの色)やホワイト系はもちろん、ベージュ系や原色、ニュアンスカラーまで、90色以上のバリエーションがあります。耐久性も高いので、普段使いなどで荒く使っても問題ありません。生地にしっかりとした厚みがあるため、アルマダで作ったバッグは自立できます。

#416 クルーズ(9号帆布)

規格:108cm*27m乱 混率:綿100% 色数:全28色 仕上:-
鮮やかな染色が特徴の9号帆布です。「グロスコット(GLOSSCOT®)」というクラボウの染色技術によって糸の芯まで染め上げられているため、発色が良く、美しい色合いが感じられます。高密度に織り上げており、表面の凹凸が少なく、さらっとした肌触りです。

#435-438 オーガニクス(オーガニックコットン11、8、6号帆布)

#435 オーガニクス11 規格:114cm*50m乱 混率:オーガニックコットン100%
#436 オーガニクス8  規格:94m*50m乱 混率:オーガニックコットン100%
#437 オーガニクス6 規格:95cm*50m乱 混率:オーガニックコットン100%
オーガニックコットンを使ったサスティナブルな帆布で、11号、8号、6号の規格で展開しています。いずれもキナリで、あえて仕上げの加工を省いていることで、同じ規格の帆布と比べてとても柔らかいことが特徴です。自然色につき、ものによって多少の色ブレや色合い、風合いに違いがあります。

#482 ラミコット(綿麻11号帆布)

規格:112cm*53m乱 混率:タテ/綿50%麻50% ヨコ/リサイクル綿100%
色数:全26色 仕上:シルケット樹脂防縮加工
綿や麻、リサイクルコットンを混紡した11号帆布です。緯糸には国内で紡績された反毛糸を使用しています。混紡しているため、綿100%とはまた違った趣があり、独特のネップ(繊維が絡み合ってできたかたまり)や麻特有のシャリシャリとした手触りが特徴。環境にも優しいサスティナブルな帆布です。

#485 ドレーク(6号帆布)

規格:112cm×25m乱 混率:綿100% 色数:全20色 仕上:硬糊仕上げ
しっかりとしたハリとコシがある6号帆布です。ざっくりとした織り感が特徴で、丈夫で重さがあるので、自立するバッグなどの整った形のアイテムを作る際に最適です。

#487 ノベル(8号帆布クラスシャンブレー)

規格:116cm×25m乱 混率:タテ/綿100% ヨコ/ポリエステル100% 色数:全8色 仕上:樹脂糊仕上げ
経糸に綿、緯糸にポリエステルの糸を使ったT/Cシャンブレーの生地です。ノベルは帆布ではありませんが、8号帆布に相当する厚みと耐久性があります。糸を引き揃えて綺麗めに織り上げており、品が良く、高級感があります。綿とポリエステルの交織のため、色落ちに強く、美しい目面を維持することができます。

まとめ

帆布(キャンバス)は、耐久性や耐水性に優れ、なおかつ加工がしやすい唯一無二の生地です。デザイン性も良く実用性も高いため、フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンで使うことができます。
仙田では、ベーシックな帆布から機能性にこだわった帆布まで、さまざまな商品を扱っています。ご希望の方にはサンプル帳をお送りしていますので、ご興味を持っていただけましたらぜひサンプル帳請求フォームよりお問い合わせください。

また、汚れがつきにくい「ラミネート加工」や、防水性を高める「パラフィン加工」などの二次加工も承っております。弊社製品以外の帆布生地の加工でも構いません。お気軽にご相談ください。

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